The Useful Question
日本語 (JP)

プロに任せれば指数に勝てるのか アクティブファンドの公平な比べ方

運用会社の調査力や、担当者の経歴を見れば、「自分で選ぶより安心」と感じるかもしれません。ただ、プロに任せることと、費用を払った後に市場平均を上回ることは、別々に確かめる必要があります。

長期の資産形成で役立つ問いは、「一番優秀な運用者は誰か」だけではありません。「自分の目的に合う低コストの分散投資と比べて、このファンドを選ぶ根拠は何か」。その順番で考えると、華やかな直近の実績から少し距離を置けます。

運用の上手さには費用を超える結果が必要

アクティブファンドは、運用者の判断で銘柄や配分を選びます。インデックスファンドは、決められた指数への連動を目指します。どちらにも運用業務はあり、「プロがいるかどうか」で分かれるわけではありません。ETFにもアクティブ型があります。[1]

アクティブ運用の追加費用は、調査が丁寧であるだけでは回収できません。投資家の手元に残る成績を押し上げる必要があります。売買にも費用がかかり、調査の成果が出ない年にも運用費用は発生します。

市場全体をひとつに区切り、すべての保有者を含めて金額加重で考えると、市場平均を上回る部分と下回る部分は費用控除前に相殺されます。費用が高いほど、その後の平均成績には不利です。ただし、これは市場全体についての算術であり、「専門家のファンドはどれも必ず負ける」という証明ではありません。調査対象の投資信託は、市場参加者全体の一部です。[2]

日本の実績は短期と長期で違う

S&P Dow Jones Indicesの「SPIVA Japan Scorecard Mid-Year 2026」は、日本籍ファンドをカテゴリー別の指数と比較しています。日本大型株ファンドがS&P/TOPIX 150を下回った割合は、2026年上半期の28.20%に対し、同年6月末までの10年間では82.16%でした。[3]

短期にはアクティブ運用が多数派で勝つ時期もあります。一方、長い期間では指数を下回ったファンドが多い。この両方を読む必要があります。各期間は開始時点の母集団が異なるため、同じファンド群の成績が時間とともに悪化したことを示す数字ではありません。

また、これはリターンの大きさではなく、ファンドの本数による割合です。SPIVAは期初に存在したファンドを分母にし、途中で償還・合併されたファンドも「生き残って指数に勝った」側には数えません。消えたファンドを除いて、現在買える商品の成績だけを並べると、過去の選択の難しさを見落とします。[3]

比較条件をそろえる

成績表を読むときは、次を確認します。

SPIVA日本の比較は円建てで、ファンド側は費用控除後ですが、購入時手数料などは含みません。指数側は配当再投資込みで、ファンドとしての運用費用を差し引いていません。カテゴリーに対応する指数も、各ファンド自身が採用する指数と完全には一致しません。[3]

したがって、指数の数字をそのまま「買える商品の手取り」と考えないこと。実際のインデックスファンドにも費用と連動のずれがあり、指数自体を直接買うことはできません。自分が選べる商品同士の比較では、実際の負担や条件を確認します。[4]

昨年の上位から来年の勝者は決められない

「勝つファンドがあるなら、過去の上位を買えばよい」と考えたくなります。しかし、過去の好成績を確認することと、今後も続く運用能力を見分けることには隔たりがあります。

米国の「U.S. Persistence Scorecard Year-End 2025」では、2021年に大型株ファンドの上位半分だった334本のうち、2022~2025年の各年も続けて上位半分に残った割合は4.49%でした。ただし、これは同業ファンド内の順位の継続であり、指数に勝ち続けた割合ではありません。日本のファンドにそのまま当てはめる数字でもありません。[5]

順位の変化だけで、運用者の実力がゼロと断定することもできません。得意な投資スタイルが相場に合う時期、担当者や運用方針の変更、偶然の影響を分けて考える必要があります。過去の成績は確認材料になりますが、購入理由のすべてにはできません。[6]

選ぶ前に説明できること

アクティブファンドを検討するなら、「何に投資するか」「比較する指数は何か」「追加費用に見合う成果を期待する根拠は何か」「その見方が外れたと判断する条件は何か」を、自分の言葉で書いてみます。過去の順位や販売担当者の説明だけでは埋まらない項目があれば、急いで選ぶ理由はありません。

長期の目的に合うなら、低コストで広く分散したインデックスファンドを、比較の出発点にする考え方は合理的です。生活に必要な資金を確保し、無理のない金額を継続して積み立てる。金融庁も長期・積立・分散を資産形成の基本として説明しています。ただし、積立や分散は元本割れをなくす仕組みではありません。[7]

一夜で大きく増やす商品探しより、何を保有し、どれほどの値下がりを受け入れ、続けられるかを先に決める。そのうえで追加の運用判断にお金を払うかを考えると、商品選びの軸がはっきりします。

資料について:SPIVAの発行元は指数の提供・ライセンスを事業とするS&P Dow Jones Indicesです。掲載値は第三者の公表集計を参照したもので、本記事が独自にファンドを検証した結果ではありません。[3]

免責事項:本記事は一般的な金融教育を目的とし、個別の投資助言や商品の推奨ではありません。投資には元本割れなどのリスクがあり、過去の実績、長期保有、積立、分散のいずれも将来の利益を保証しません。最新の目論見書等を確認し、ご自身の資金計画とリスク許容度を踏まえ、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

出典

  1. SEC Investor.gov:アクティブファンドの定義、インデックスファンドの定義
  2. William F. Sharpe:The Arithmetic of Active Management(1991年1–2月)
  3. SPIVA Japan Scorecard Mid-Year 2026(2026年10月5日公表)、Report 1a・Appendices A/B
  4. SEC Investor.gov:Index Funds
  5. U.S. Persistence Scorecard Year-End 2025(2026年5月7日公表)、Report 2
  6. SEC:Investor Bulletin—Performance Claims(2022年9月15日)
  7. 金融庁:資産形成の基本