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同じ高さの音なのに、楽器によって音色が違うのはなぜ?

ピアノとクラリネットが同じ高さの音を出しても、どちらの音か聞き分けられることがあります。 含まれる周波数の強さの配分、音の始まり方や消え方、息や雑音の成分などが違うからです。 まずは音の出だしと、その後の響きを分けて聴くと、音名だけでは分からない違いが見えてきます。

「同じラ」が、本当に同じ高さか確かめる

ラという名前が同じでも、一オクターブ違えば音の高さは違います。ここでは、同じオクターブ、同じ調律の音を、無理のない似た音量で比べる場面を考えます。大きな条件の違いを減らしてから、「明るい」「丸い」「息っぽい」「金属的」といった音色の違いに耳を向けます。

周波数は物理的な繰り返しの速さで、ヘルツという単位で表します。一方、音の高さは私たちが感じるものです。普通の高さのはっきりした音では両者は深く関係しますが、一つの音に複数の周波数成分が含まれていても、一つの高さとして聞こえることがあります。スペクトルで一番高い棒の周波数を、そのまま音の高さと決めることはできません。UNSWの音の高さと複合音の解説

録音を比べる場合は、部屋の残響、マイクの位置、再生機器の設定なども響きに関わります。音量を似せたからといって、録音条件までそろえた実験になったわけではありません。

一つの音にも、複数の倍音が含まれる

分かりやすい例として、基本となる周波数をfとします。ここでは基音に当たるfも含め、f、2f、3fのような整数倍の成分を倍音として扱います。基本周波数が同じでも、それぞれの成分の強さの割合は変えられます。その配分が変わると、合わさってできる波の形も変わり、音色の違いにつながります。スペクトル、倍音、音色の関係

振幅スペクトルでは、横軸に周波数、縦軸に各成分の強さを示します。棒の高さから読むのは、「この例に、その周波数の成分がどれくらい含まれているか」です。

架空の二つの音で、倍音の配分と時間変化を比べる図

上の図では、音Aと音Bの倍音の位置は同じですが、棒の高さが違います。実際の楽器を録音して作ったものではありません。強さの配分は説明用に決めた仮の値で、測定目盛りも付けていません。Aがピアノ、Bがクラリネットという意味でも、楽器を判定する見本でもありません。

基本周波数の成分は、一番強いとは限りません。条件によっては、その成分がなくても、高い倍音の並びから基本周波数に対応する高さを感じる「ミッシング・ファンダメンタル」という現象もあります。「一番目立つ成分が、そのまま聞こえる高さ」とは限らないのです。

音の出だしにも、手がかりがある

次は、一音が鳴っている間の振幅の変化を考えます。急に立ち上がって減衰する音もあれば、ゆっくり立ち上がり、エネルギーが供給される間続く音もあります。この大まかな形を「振幅包絡」と呼びます。出だしは「アタック」、その後には減衰、持続、音を終える段階などがありますが、すべての音が四段階にきれいに分かれるわけではありません。

下の図は、仮に作った二つの振幅包絡です。縦軸は相対的な振幅で、人が感じる音量そのものの目盛りではありません。また、音波が細かく往復する形ではなく、その振れ幅が時間とともにどう変わるかを描いています。

出だしには、安定した音になる前の不規則な振動や雑音が含まれることもあります。UNSWの教材では、始まりの部分を変えたり取り除いたりすると、音の聞き分けが変わり得ることを説明しています。音色と振幅包絡

単純な倍音の棒グラフだけでは、この時間変化は分かりません。実際の楽器では、鳴っている途中に周波数成分の配分も変わります。スペクトルと包絡は、変化する一つの音を別の側面から見るための道具です。

高い成分が、全部「倍音」とは限らない

ここでの倍音は、基本周波数の整数倍という意味です。複合音を作る成分を広く表す「部分音」には、その並びにぴったり乗らない非調和な成分もあります。弦の硬さや打楽器の振動の仕方などを考えると、整数倍の理想図だけで説明できない音があると分かります。楽器の成分は、どこまで整数倍なのか

雑音も別の要素です。息やこすれる音の寄与は、一本のくっきりした棒ではなく、ある周波数の範囲に広がって現れることがあります。整数倍からずれた一つの成分と、広い範囲の雑音は、同じものではありません。上の図では、どちらも省略しています。

また、一つの楽器に決まった倍音の配合が一種類だけあるわけではありません。音域、強く鳴らすか弱く鳴らすか、奏法でも響きは変わります。その楽器らしい音があることと、どの音でも成分の割合が一定であることは違います。

二回聴いて、問いを小さくする

すでに聴ける録音や手元の楽器があれば、短く、音の高さが分かりやすい一音を選びます。音量は無理のない範囲で、大きくすることを目標にしません。一回目は出だしに注目します。すぐ鳴るのか、ふくらむように始まるのか、先に息や小さな打音が聞こえるのか。

二回目は、その後に注目します。同じように続くのか、すぐ弱くなるのか、消えていく途中で響きが変わるのか。日本語でメモするときは、「高い」「大きい」「明るい」を一つの言葉にまとめず、何の違いを感じたか分けてみます。原因を決める前に、「最初に短い雑音が聞こえた」のように書いてみます。耳だけで「第三倍音の量を測れた」とは言えませんし、楽器名を当てる試験にする必要もありません。

二つの楽器を比べられるなら、できる範囲で同じ高さ、似た音量にします。一つしかなくても、鳴らし始めや音の続け方を比べれば、気づける違いがあります。これらは聴き方の提案で、この記事のために行った聴取実験の結果ではありません。

どの手がかりが一番かは、条件による

周波数の配分も時間変化も重要ですが、効き方は音や課題によって違います。合成し直した楽器音で成分の配分や振幅包絡を変えた研究では、その聞き分け課題でスペクトルの変化の影響が強かったと、要旨に報告されています。「アタックがいつも最重要」「倍音だけですべて決まる」のどちらにも広げないことが大切です。HallとBeauchampの研究要旨

同じ高さの音でも、始まり、続いている間の成分、消え方には違いがあります。次に二つの楽器を聴くときは、そのうち一つを選んで比べてみてください。一音の中に、音名より多くの情報が入っていることに気づけます。

出典と確認範囲

2026年10月11日(UTC)に資料を確認しました。引用した研究は要旨を確認しており、論文全文は未読です。図は独自の仮想例です。音源の転載、録音、聴取試験、スペクトル測定は行っていません。