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宇宙の写真は本当の色? 星雲の青とオレンジを読み解く

白黒の観測データから、カラフルな一枚ができるまで。

宇宙と科学|約4分で読む|資料確認:2026年10月9日(日本時間)

宇宙写真には、肉眼では見えない光を観測し、目に見える色で表したものがあります。 下のウェッブ宇宙望遠鏡の写真が、その一枚。青やオレンジは、目に見えない赤外線の観測データに割り当てられた色です。この画像の観測と色の説明

青い上部と、オレンジや茶色の起伏ある雲の境目に星々が点在する、ウェッブの「宇宙の崖」の観測画像。
実際の観測画像:カリーナ星雲の星形成領域NGC 3324にある「宇宙の崖」。近赤外線カメラNIRCamによるデータをカラー合成したもの。2022年7月12日公開。Credit: NASA, ESA, CSA, STScI。画像の配布元 · NASA, ESA, CSA, STScI · NASA

実際の観測画像:カリーナ星雲の星形成領域NGC 3324にある「宇宙の崖」。近赤外線カメラNIRCamによるデータをカラー合成したもの。2022年7月12日公開。Credit: NASA, ESA, CSA, STScI。画像の配布元

青空の下に、山脈がそびえているようにも見えます。でも、この起伏はガスや塵の雲にできた境界です。「宇宙の崖」という名前まで聞くと地上の景色を思い浮かべたくなりますが、その青は昼間の空の青と同じ意味ではありません。写っている領域の解説

では、望遠鏡が受け取った光は、どこでこの色になったのでしょう。

白黒の一枚にも、光の種類が入っている

ウェッブの画像は、まず場所ごとの光の量を記録したデータとして得られます。白から黒までの明るさで表示すると、光を多く受けた場所と少なく受けた場所が見えてきます。

ここで働くのが「フィルター」です。通す光の波長、つまり光の種類を一定の範囲に絞ります。同じ星雲を別々のフィルターで観測すれば、違う種類の光について、それぞれの明るさの分布が得られます。ESA/Webbの画像処理解説

白黒だからといって、宇宙そのものが白黒だったわけではありません。たとえば赤い光だけを通して撮った画像なら、白く表示された部分は「赤い光が多く届いた場所」です。表示の白と、観測した光の種類は、分けて考える必要があります。ESA/Hubbleの画像と色の説明

次に、フィルターごとの画像に色を割り当て、星の位置などをそろえて重ねます。重なった場所では、各画像の明るさに応じて色が混ざります。この組み合わせから、豊かな色の一枚が生まれます。

特定の波長の光をフィルターで選び、場所ごとの明るさを記録し、複数の画像に表示色を割り当てて重ねる流れ。
編集部作成の概念図。実際の観測データや、この写真の全処理工程を再現したものではありません。 · 本稿のために制作したオリジナル説明図
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特定の波長の光をフィルターで選び、場所ごとの明るさを記録し、複数の画像に表示色を割り当てて重ねる流れ。
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編集部作成の概念図。実際の観測データや、この写真の全処理工程を再現したものではありません。

仕上げでは、暗い部分の細部が見えるように明暗の幅を調整し、検出器などに由来する不要な写り込みも処理します。公開画像の制作では、画像の専門家が科学者と確認を重ねます。完成した写真には、観測に加えて、何を読み取りやすくするかという判断も含まれています。カラー画像が完成するまで

この写真の青は、何を表している?

「宇宙の崖」のNIRCam画像には、六つのフィルターのデータが使われています。そのうちF090Wの画像には青、F200Wには緑、F444Wには赤が割り当てられています。残りは水色、黄、オレンジです。フィルター名を覚える必要はありません。大事なのは、色と観測データの対応が公開されていることです。この一枚の色の対応表

つまり、この写真の青い部分を見て「青い光が目に届く場所」と受け取るのは早計です。複数の赤外線画像を、決められた色で混ぜた結果を見ています。

短い波長ほど青く、長い波長ほど赤く表す方法はよく使われますが、配色は画像ごとに確認する必要があります。この写真ではF470Nに黄色が使われており、単純な波長順だけで全配色を説明することもできません。配色の考え方

「本当の色」を考えるときの三つの違い

目に見える光の色を、なるべく再現する画像。 赤・緑・青などの可視光を観測し、それに対応する表示色を組み合わせる方法です。たとえば探査機ロゼッタの彗星67Pの画像は、赤・緑・青のフィルターによる観測を合成し、自然な色合いを表そうとしています。その画像でも、表面を見やすくするため明るさは調整されています。「自然な色」と、肉眼での明るさまで同じという意味は別です。ロゼッタのカラー画像の説明

目に見えない光や、選んだ光の違いを色で示す画像。 今回のウェッブ画像がこれに当たります。可視光の観測でも、特定の波長を見分けるために別の色を使うことがあります。可視光の色分けの例また、ハッブルにも赤外線の観測画像があります。「ハッブルなら肉眼どおり、ウェッブなら着色」と、望遠鏡の名前だけで決めることはできません。ハッブルの赤外線画像の例

観測を手がかりに、姿や仕組みを描いた想像図。 キャプションの「artist’s impression」や「artist’s concept」が目印です。科学的な知見に基づいていても、描かれた細部がそのまま撮影されたとは限りません。たとえば銀河の間で起きた爆発の想像図では、まだ分かっていない爆発の仕組みを、推測を含めて描いていることが明記されています。観測画像とは別に公開された想像図の例

この三つは、画像を楽しむためにも役立つ区別です。美しいかどうかとは別に、「どんな光を測ったのか」「色は何に対応するのか」「撮影か、図解か」を、説明文から読み取れます。

もう一度、青とオレンジの境目を見る

冒頭の写真を見直すと、青い部分にも淡い筋があり、オレンジの雲も一色ではないことに気づきます。色のつけ方を知っても、この複雑な景色の面白さはなくなりません。

次に宇宙写真を見たら、「この色は本当?」に加えて、「この色は、何を見せてくれている?」と考えてみてください。画像の「Color Info」や「Colours & filters」は、その答えを探す入り口です。

色の意味が分かると、今度は形も気になります。銀河の周りに見えるアインシュタインリングでは、光の通り道そのものが、不思議な輪を作っています。

出典と画像について

本文のリンクはNASA、ESA、ESA/Hubble、ESA/Webbの一次資料です。冒頭の写真は2022年公開の画像を使った解説で、2026年の新発見として紹介するものではありません。

写真は公式サイト配布のプレビューを使用し、当記事での色変更や描き足しはしていません。Credit: NASA, ESA, CSA, STScI。NASAの画像利用ガイドラインに基づく、事実を解説するための使用です。NASAや各機関による記事・サービスの推奨を意味しません。