老後2,000万円を目指すなら毎月いくら積み立てる? 開始年齢と初期資金で比べる
65歳までに2,000万円を用意する例では、初期資金ゼロ・年4%の一定利回りを仮定すると、20歳開始で月約1万3,500円、50歳開始で月約8万1,700円です。 同じ目標でも、残りの時間と既にある資金で必要な積立額は大きく変わります。ただし、2,000万円は全員に必要な額ではなく、4%も7%も将来の運用成果を予測した数字ではありません。
この記事では、目標額から毎月の積立額を逆算します。20代から50代の代表例として、20・30・40・50歳ちょうどから65歳までを比較しました。28歳なら20歳の行とは期間が異なります。65歳も比較のために置いた到達年齢で、働き方や年金の受け取り方を指定するものではありません。
2,000万円という数字の出発点を確かめる
2019年6月の金融審議会市場ワーキング・グループの報告書は、夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯について、平均的な月の収入と支出の差を約5万円と説明しました。その差が20〜30年続くと単純に延ばした額が、約1,300万〜2,000万円です。基になったのは2017年の家計調査で、現在のすべての世帯の不足額を示したものではありません。金融庁の報告書 10・16・21ページ、基礎資料 24ページ。
報告書自体も、収入・支出・暮らし方によって不足額は違い、不足が生じない場合もあるとしています。単身か夫婦か、家賃や住宅費、年金、医療・介護への備えでも必要な資金は変わります。国が一人ひとりに2,000万円の積立を義務づけた数字ではありません。
そこで、以下では2,000万円を計算を比べるための仮の目標として使います。この金額で老後の支出が足りるかを検証する記事ではありません。
まず初期資金ゼロで時間の違いを見る
計算条件をそろえます。
- 65歳時点の残高を、将来の名目額で2,000万円にする
- 初期資金は開始時に全額を運用し、その後も65歳まで置く
- 毎月末に同額を積み立て、途中の引き出しや積立中断はない
- 年4%・7%は仮定の実効年率。対応する一定の月率で増え、収益は再投資する
- 税金・手数料は含めず、まず物価上昇も含めない
初期資金に含めるのは、老後のために実際に確保できる資産です。生活防衛資金や近い将来の支払いに使うお金、売却を予定していない自宅の価格まで、運用できる資金として足し込まないようにします。
図を拡大して読む
図の中を横にスクロールできます(キーボードの左右キーにも対応)
図:編集部による独自計算。表示は1円単位の概数。0%は運用による増減がない計算上の基準で、預金金利を表したものではありません。4%・7%は保証されません。
0%でも、45年間で用意する20歳の例は月約3万7,000円、15年間で用意する50歳の例は月約11万1,100円です。早く始めるほど、まず入金を分けられる回数が増えます。プラスの運用収益が続く仮定では、早く入れたお金が増える期間も長くなります。
初期資金が500万円や1,000万円あるとどう変わるか
次の表は毎月の追加積立額です。初期資金はこれとは別に、最初から運用しているものとします。各金額は100円単位に四捨五入した概数で、丸めた額を積み立てれば厳密に目標へ届くという意味ではありません。
表の0円は「初期資金だけで、置いた利回りが続けば目標に届く」という計算結果です。現実に追加の備えが不要だと保証するものではありません。
年4%で増えると仮定した場合
| 開始年齢 | 65歳まで | 初期資金0円 | 初期資金500万円 | 初期資金1,000万円 |
|---|---|---|---|---|
| 20歳 | 45年 | 月13,500円 | 月0円 | 月0円 |
| 30歳 | 35年 | 月22,200円 | 月300円 | 月0円 |
| 40歳 | 25年 | 月39,300円 | 月13,100円 | 月0円 |
| 50歳 | 15年 | 月81,700円 | 月44,900円 | 月8,100円 |
年7%で増えると仮定した場合
| 開始年齢 | 65歳まで | 初期資金0円 | 初期資金500万円 | 初期資金1,000万円 |
|---|---|---|---|---|
| 20歳 | 45年 | 月5,700円 | 月0円 | 月0円 |
| 30歳 | 35年 | 月11,700円 | 月0円 | 月0円 |
| 40歳 | 25年 | 月25,500円 | 月0円 | 月0円 |
| 50歳 | 15年 | 月64,300円 | 月19,900円 | 月0円 |
いずれも税・費用・インフレを含まない試算です。7%は安全に得られる利回りではありません。0円の欄も初期資金の運用を続ける前提で、元本保証や達成確率を示していません。
例えば20歳時点の500万円は、年4%が45年間続けば約2,921万円になるため、追加積立は計算上ゼロです。一方、30歳時点の500万円は同じ4%でも35年後に約1,973万円なので、月約300円を追加する結果になります。初期資金を目標から一度だけ引いて残額を積み立てる計算とは違い、初期資金自体が増える時間も含めています。
初期資金ゼロ・4%の例で本人が積み立てる総額を比べると、20歳開始は約730万円、50歳開始は約1,471万円です。どちらも仮定上の最終残高は2,000万円。早い時期に確保した資金と長い期間が、後から必要になる入金額を減らす関係が見えます。ただし、そのために生活に必要なお金まで運用に回す必要はありません。
65歳の2,000万円で今と同じだけ買えるか
ここまでの2,000万円は、将来の通帳や口座に表示される金額です。現在の2,000万円と同じ購買力を目指すなら、物価の変化も目標に織り込む必要があります。
仮に物価が毎年2%ずつ上がるとします。これは計算例で、将来予測ではありません。20歳から65歳までの45年後には、現在の2,000万円相当の購買力を持つ金額は約4,876万円になります。
| 開始年齢 | 現在の2,000万円相当にする将来の目標 | 初期資金ゼロ・年4%での月額 |
|---|---|---|
| 20歳 | 約4,876万円 | 約33,000円 |
| 30歳 | 約4,000万円 | 約44,400円 |
| 40歳 | 約3,281万円 | 約64,500円 |
| 50歳 | 約2,692万円 | 約110,000円 |
物価上昇は年2%、運用収益は年4%と別々に仮定し、毎月の積立額は将来も同じ名目額に固定しています。積立額も毎年2%ずつ増やす例ではありません。目標額は万円単位、月額は100円単位の概数。税・費用は含めません。
図を拡大して読む
図の中を横にスクロールできます(キーボードの左右キーにも対応)
図:編集部による独自計算。一定の物価上昇率も、一定の運用収益率も仮定です。長い時間は運用に有利に働く一方、物価が上がり続けるなら必要な名目額も大きくします。
表を自分の計画に使うときに変えるもの
最初に決めたいのは、期待する利回りよりも「いつ、何のために、いくら必要か」です。老後の生活費を見積もり、ねんきんネットの年金見込額試算などで自分の年金を確認します。日々の不足分と、住宅修繕などのまとまった支出を分けて考えると、目標額の理由が明確になります。
そのうえで、次の3点を紙に書き出します。
- 何歳までに用意するか。目標は将来の名目額か、現在の購買力か
- 既に確保している老後用の資産と、家計から続けられる月額はいくらか
- 低い収益率や損失が起きた場合に、積立額・到達年齢・使う予定のどれを見直せるか
4%も7%も、実際の相場の上下を消した計算です。途中の値下がりや積立中断、退職直前の下落があれば結果は変わります。「平均で7%くらい増えるはず」と置けば、毎月滑らかに7%の年率で増える表のとおりになるわけではありません。年4%は取り崩し率でもなく、老後資金が何年もつかを示す数字でもありません。
必要額が家計に収まらないときは、高い利回りを入力して帳尻を合わせる前に、目標と時期、積立額を見直します。税制上の口座選びは別の問題です。関連記事「毎月1万円はどこまで増える? 預金と投資を数字で比べる」は積み上がる残高の読み方を扱います。この記事の表は、その反対方向に、目標から毎月の負担を考えるために使ってください。
計算の読み方
月率は「(1+実効年率)の12乗根−1」。初期資金の将来価値を目標額から引き、残額を毎月末の積立で用意するよう逆算しています。年率を単純に12で割る方法とは結果が少し異なります。計算の詳細と全条件の数値は、付属の計算資料にまとめています。
資料確認日:2026年10月13日(日本時間)。2019年報告書の説明と、この記事独自の将来試算は別のものです。
本記事は一般的な金融教育・情報提供を目的とし、個別の投資助言ではありません。投資には元本割れのリスクがあります。過去の実績、仮定の利回り、試算は将来の成果や目標達成を保証しません。制度や個人の状況によって結果は異なります。投資の最終判断は、ご自身の責任で行ってください。